【本記事を読んでほしい方】
- FRPで型や製品を自作している
- 型から製品を外す離型のときにうまくいかない
- 失敗しない離型剤を知りたい
- シリコン、ワックスのおすすめを知りたい
今回は自作のFRP成形加工する時に使用している【離型剤】をご紹介します。
趣味でRCグライダーをフルスクラッチビルドしていた経験から辿り着いた、簡単で確実な脱型ができる信頼の離型剤です。
本当は内緒にしたかった。FRP成形で行う脱型で失敗しないために使用する離型剤はこのワックス
離型剤の役割
離型剤とは製品を作るための雄型、及び雌型の製作時にキレイに脱型させるための皮膜を形成するものです。
また、型の中や製品自体が簡単に掃除することが出来、クリーンでスムージングされていることを維持するのに必要です。
実はFRP整形で一般的に用いられるエポキシ樹脂は一方で接着剤という科学的側面があり、他のものと強固にくっ付こうとする性質があります。
したがって、この離型処理に失敗すると、型や製品が凸凹になったり剥離したりと台無しになってしまいます。
このように製品の美しさを保つためには、離型剤の役割はとても重要になってきます。
離型剤の種類
このように作業工程の中でとても重要となる離型剤ですが、一般的に購入できるものはどのようなものがあるでしょうか。
離型剤の種類には「塗るタイプ」と「噴射するタイプ」があります。
塗るタイプはウエスなどに染み込ませて型に塗り、離型皮膜を形成するというものです。
基本的に毎回塗り込みますが、何度も使用しているうちに数回は処理なしで離型するようになってきます。
噴射するタイプはスプレーです。
型の表面に塗装するようにスプレーしていきます。
スプレーなので簡単ですが、型の形状によっては細部までカバーされているのか注意が必要です。
自宅の一室で作業する場合には、拡散してしまわないように換気が必要になってきます。
簡単確実信頼の離型剤はこれ
自作でFRP成形をしている方が使用したことがある離型剤は主にワックスタイプとPVAの液体タイプだと思います。
ワックスタイプの場合は型の表面を特にツルツルに仕上げていないと、一部剥離してしまうなどの離型失敗経験をしてしまうのはよくあること。
また、しっかり何度も処理したにも関わらず、一部有名な高強度低粘度エポキシ樹脂使用の場合などには、熱硬化処理を行うためにその過程で離型効果が損なわれ脱型がうまくいかないことが起こることもあります。
そのため、また失敗するのは勘弁願いたいということで、青い液体で有名なPVAを使用してもう1つの皮膜を作り万全を期すというのもよくあることです。
しかし、このPVAは製品を型から抜いた後に水洗いをして青いPVA膜を洗い流すという面倒な工程を1つ増やすことにもなるのです。
そんなことを何度も繰り返していた時に発見したのが、ナガセケムテックスのQV10です。
このワックスのすごいのは
製造元のナガセケムテックス株式会社は化学合成・配合設計・バイオなど多くの分野で高いシェアを持つ化学メーカーです。
各分野で培われた技術が離型ワックスという縁の下の力持ち的なケミカルにも活かされています。
初めて製品に塗るときは今までの経験から心配なので数回塗りますが、
実際一度しっかり塗りさえすれば大丈夫ではないかと思われるほどしっとり光沢が出ます。
ササっとグラスやカーボンのFRPシートを作る時に、アルミを加工した簡易的なジグを使いプレスして作ったりします。
写真でも確認できるように小さな傷が多く入っていますが、QV10を塗っておけば問題無しです。
力も必要とせずポコっと離型します。
また、細部の入り組んだ造形も欠けることなくキレイに離型させることができます。
製品にはワックスQV10による影響がなく光沢も損なわれません。
型も傷まないので何度も繰り返しキレイなまま使用できますので、量産にも向いているのではないでしょうか。
液状タイプ離型剤はQZ13
今回はFRP成形で雄型・雌型から脱型する際に失敗しない【離型剤・ナガセケムテックスQV10】の紹介をいたしましたが、残念ながら「QV10」は製造中止となり販売されておりません。
製造元のナガセケムテックスに問い合わせたところ、代用品として紹介された商品がシリコーン離型剤の「QZ13」です。
簡単に言えば高品質な点は変わらず、ワックスタイプか液状タイプかの違いのみです。
刷毛や布に染み込ませ薄く塗り伸ばすかスプレーするだけでOKです。
乾燥も早いので事前準備に時間が掛かりません。
Lab-CASTさんにて購入可能です。
まとめ
今まで様々な種類を試しても納得のいくものが見つからなかったり、PVAなどを使う工程を減らしたかった方などに有益な情報となったのではないでしょうか。
納得の使用感間違い無しです。
参考まで、写真奥に見える青い型の表面をカッチカチにしている「frp 自作 型取り」に使用しているエポキシは【SW-404】という硬度90ショアDの表面専用タイプです。